ベトナム帰りのスミスソン・アイドは43歳。ベトナムでは帰国まであと1ヶ月となった時点に、戦場で不用意にオシッコをしたがために敵の一斉射撃を受けて21発の弾丸を受ける。幸いにも九死に一生を得るが、友人は銃撃で即死した。戦地から帰ってからは喪失感に苛まれ、タバコとビールとジャンクフードの生活で体重は126kgとなる。姉のベサニーは精神病で「あの声」が聞こえると別人となり、ポーズを取ったり、自分の体を傷つけたりする。新婚旅行中に失踪したまま行方不明だったが、両親の交通事故死で父の手紙を整理していた際に、つい最近死亡通知が来ていたことを知る。放心状態になったスミスソンはひょんなことからガレージにあった自転車に乗り、東海岸の自宅から姉の遺体のあるロサンゼルスまで行くことになった。
幼馴染のノーマは交通事故で下半身不随になってから合わないようになった。しかしこの横断旅行で自分にとって大切な人だと気づく。旅先では警官に浮浪者と間違えられて殴られたりするが、心優しい人たちとの出会いと自転車に乗って体を動かすことによる精神を開放する効果によって、体重の減少とともに堕落したままの生活から抜け出す力を掴んでいく。スティーブン・キングがオーディオブックを聞いて絶賛した魂の救済を描いた佳作だ。
自転車にはまってから、「自転車」で図書館の本を検索して見つけた本だが、これは大当たりだった。
- 2007/12/01(土) 11:45:47|
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ツールド・フランス7連覇という前人未到の記録を打ち立てた自転車選手の自伝。マイヨ・ジョーヌとはツールド・フランスで前ステージの最高タイムを出した選手が着る黄色いジャージのこと。ただしオリジナルタイトルにあるとおり自転車の話だけじゃなく(It's not about the bike)、ガンからの生還記録でもある。
母子家庭で育った著者は貧しさの中でも、芯の強い母親からマイナスを全てプラスに変えるということを学んで育つ。球技の才能は無かったが、人並みはずれた心肺能力からトライアスリートとしてデビューをする。レースで好成績を挙げて注目を浴び、その後自転車レーサーになる。自転車レーサーとして上り調子にあるとき、睾丸ガンに冒される。気づくのが遅かったため、病院にいったときにはガンは肺や脳まで転移し、生存率は20%を切るような状態だった。しかし、持ち前の強靭な精神力と体力で厳しい抗がん剤の治療に耐え、ついにガンを克服する。ガンで体重が落ちた著者は厳しいトレーニングで体力を戻し、自転車レーサーとして復活する。今まで80kgあった体重は70kgまでしか戻らなかったが、これがかえって自転車レーサーとしてプラスになった。ヒルクライムでは体重が軽い方が有利なのだ。ガンによって自転車レーサーとしての理想的な体型を得ることが出来たのだ。
ガンにかかったことが分かったとき、同じようにガンにかかった米兵から「君はまだ分からないだろうけど、僕たちは幸運な人間なんだ」と人を馬鹿にしたようなeメールを受け取る。しかし、ガンから生還した今、著者もまた同じことを言う。「断言していい。ガンは僕の人生に起こった最良のことだ」。癌生還者だから言えるということもあるが、ガンによって今まで見えなかったものが見えるようになり、大切と思っていたことが大したものではなく、本当に大切なことがわかったのだ。禅で言う「悟り」を開いたのだと思う。また著者は言う「僕が言いたいことはただ一つ。もし人生で二度目のチャンスを与えられたら徹底的にやり抜くことです」。たった一度の人生を完全燃焼させる力をガンは与えてくれたのだ。
- 2007/10/23(火) 22:30:13|
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ブルース・チャトウィンの「パタゴニア」を読んだ。実は半年ほど前に購入してあったのだが、もったいなくてしばらく取っておいた本だった。先週久しぶりに1泊での出張となったので、じっくり読む時間が出来そうだと読む事にした。芸術の香り高い異色の紀行文学、と帯に書いてあるので、パタゴニアの気候や町などを描いた本だと思って買ったのだが、まったく異なっており、良い意味で裏切られた。
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- 2007/08/05(日) 21:21:57|
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バンブーロッドのいま 渡渉舎 (2007/06) 渡渉舎
この商品の詳細を見る | 「バンブーロッドのいま」をようやく読み終えた。読み応えのある本だった。内容はテーマごとに編集されたものではなく、竿職人、ユーザー、販売店などバンブーロッドに関わる人達47人へのインタビューをまとめたものだ。始めにこの本を開いてみて、別の本を思い出した。
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- 2007/07/12(木) 23:10:01|
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「フランス+職人」で検索していたら見つけた本。職人関係の本に弱い私は、早速購入した。職人話的な本ではなく、寓話的な小説だった。
オーレリアン・ロシェフェールは黄金を求めて養蜂家となった。しかし彼の住むラングラードでは富をもたらすものはラヴェンダーであり、それが黄金であった。ラヴェンダー栽培を営む祖父から蜂蜜を否定されるが、オーレリアンは自分の求める黄金は蜂蜜以外にはないと養蜂を始める。だが火事で自分の巣箱をすべて灰にしてしまう。落ち込んだ彼がそのとき読んだ小説がアフリカに黄金を探しに行く話であった。それから黄金を探してアフリカに渡る。そこで出会ったのは…
この著者の文体は短い節で区切られた独特のものでそれがリズムを作り出している。会社の昼休みを使って1週間ほどで一気に読んでしまった。後味の良い作品だった。
- 2007/05/09(水) 21:53:34|
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